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第2回草の根パイロット事業 -その2-

こんにちは。
前回の投稿に引き続き、アライアンス・フォーラム財団栄養士の太田旭です。
約1ヵ月の出張期間を終え、先日ザンビアから帰国しました。
今回は南部州Gwembe郡にある農村部Munyumbwe地域のヘルスセンターで実施した調理実習の様子をレポートしたいと思います。

調理実習で用いたレシピは、昨年夏に実施したキーフーズ調査 の結果を元に考案しました(キーフーズ調査については、2015年7月22日の記事をご参照ください)。その結果から、多くの大人が日常的に食しているにも関わらず、子どもにはあまり与えられていなかった食材を見つけ出しました。その名も“Kapenta(カペンタ)”という乾燥小魚で、地域の子ども達に不足しがちなタンパク質と微量栄養素が豊富に含まれたポピュラーな食材です。

※カペンタ
市場で売られているカペンタの袋詰め

今回はこのKapentaを使った子ども向けレシピを用意して挑みました。そして、調理実習の内容は、調理をするだけでなく衛生教育を盛り込んだ構成を計画しました。

※衛生教育技術について学んでいる5歳児未満健診担当ボランティア達
ボランティアの男性

衛生教育はまず母親たちに指導するボランティアに研修を実施しました。
内容は始めに、「細細菌とは、細菌が体内に入るとどんなことが起こるか」、「細菌はどんな所に住んでいるか」、「どんな行動が細菌を体内に入れてしまう原因になるのか」、などをボランティア間で意見交換をしてもらいました。そして、キーワードで覚える衛生ポイントと題して、4つのキーワードが書かれたカード「洗う」「分ける」「離す」「覆う」を利用し、調理実習の際にアナウンスする重要な衛生事項を学びました。キーワード別衛生教育事項は以下の通りです。

1.「洗う」トイレの後に石鹸を使って手を洗う、食事の前にも石鹸を使って手を洗う。
調理する食材は綺麗な水でよく洗う。食器や調理器具も洗って綺麗なものを使う。
2.「分ける」生の肉や魚には細菌が多いので、未加熱のそれらは生野菜や果物・調理済料理と分けるようにする。まな板や包丁も作業工程を分けて細菌が移らないようにする。
3.「離す」調理場所はトイレや家畜小屋とは別に設け、隣接せず離すようにする。
4.「覆う」食材・調理済料理・水などは布巾や蓋で覆い、ゴミや虫が入らないようにする。

※5歳未満児健診にてボランティアが実施した調理実習の様子
野外で学んでいる担当ボランティア達

調理実習実施に当たり、地域の家庭で使われている調理器具を使うなど、家庭の調理スペースと同じ条件になるよう考慮し準備しました。実際の実習は、ボランティアが割り当てた個々の役割をしっかりとこなし、栄養教育研修で学んだ衛生情報を正確に伝え、無事に終了することができました。

※試食中の様子
試食の様子

そのお味はというと、試食をしたお母さん達・子ども達・そしてクリニックやボランティアの間でも、食べやすく美味しいと好評でした。試食後に実施したアンケートでは、それまで“カペンタ”は硬さの問題で子どもには向いていないと考えていたお母さん達から「(食材の)切り方を少し変えたり、カペンタを砕くという工程を加えただけで、子どもにも食べやすい料理にかわることを分かり易く学べた」などというコメントが寄せられました。

※出張中にホームスティをさせてもらったNawaさんご一家と
Nawaさん一家との写真

あっという間に終了したザンビア出張、ザンビア料理が既に恋しいです。
世界の沢山の場所で「おかえりなさい」と声をかけてくれる人がいるということは、本当に嬉しいものですね。また遠からずザンビアへ戻れることを楽しみにしています。