アライアンス・フォーラム財団

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バングラデシュツアーレポート(2011.11)

 

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2009年から始まり、今回で第13回目 となるバングラデシュ・スタディツアー。学生から社会人まで多様な参加者の皆様とともに経験した6日間の旅の様子と、ツアーを通じて感じたことを紹介します。

第1日目 空港からホテルへ
東京からバングラデシュの首都であるダッカまで、乗継時間も含めると約13時間の旅。遠いところまで来たなあと思いながら、少し緊張した面持ちで荷物を受 け取り、空港出口へと進みます。HISのサインボードを掲げたガイドさんを発見して安心し、空港から車で30分程のグルシャン地区にあるホテルにチェック イン(後から聞いたのですが、この地区は日本で言えば六本木のような高級住宅街だそう)。夜は街の喧騒を遠くに聞きながら、明日からのツアーに思いを馳せ ていると、旅の疲れからかいつの間にか眠りに落ちていました。

 

 

第2日目 ダッカ市内の視察観光

翌日は朝8時にホテルのロビーに集合し、参加者全員がマイクロバスに乗りこんだことを確認していよいよツアー開始。まずはダッカ市内のスラム街にあるカウランバザールというマーケットに向かいます。ちょうど出勤時間帯ということもあり、通りは人と車、そしてリキシャと呼ばれる人力車で溢れかえり、なかなか前に進むことができません。私たちは早速、ダッカ名物である渋滞の洗礼を受けることになりました。ようやく到着したマーケットの入り口は、まさに線路そのものでした。そこに足を踏み入れると、線路の両脇にびっしりとあばら屋が立ち並び、人々は線路のすぐ脇、そして線路の上にも魚、野菜、そしてルティ(小麦粉の薄焼きパン)など様々な商品を並べて販売しています。私たち一行はその場の勢いに圧倒されながら、線路沿いにマーケットの中に進みます。「この線路は廃線なのかな?」と皆で話していたまさにその時、何ともタイミングよく向こうから電車がやってきます。一同が唖然としていると、線路上の人々は一斉に商品を持って線路脇に避難します。その間約20秒。あっという間に電車が私たちの横を通り過ぎていきます。そして電車が通り過ぎると、何事もなかったかのように人々がまた線路の上で商売を再開します。

 

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スラム街というとつい寂れて荒んだイメージを持ってしまいますが、ここには紛れもなく活気と希望に溢れた人々の生活がありました。
私たちは強烈なカルチャーショックを受けたまま、次の目的地であるショドルガット港へ。ここへは様々な農作物がダッカへと運ばれてくるほか、ダッカと各地を結ぶ船が発着しています。バングラデシュが水郷の国であることを思い出させてくれる光景です。

 

 

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その後、喧騒のオールドダッカを散策し、ピンクパレスなどを見学して待望の昼食の時間になりました。しばし喧騒から解放されて、皆一様にほっとした表情です。昼食後は、翌日の視察地であるタンガイルに移動。ダッカ市街を離れて10分程のところで、川から田園に無数のパイプが引かれているのを発見し、それが何かをガイドさんに聞いてみると、港の海底から掘り出した泥を船で上流に運んで田園を埋め立てているのだそうです。ちょうど尋ねた場所には病院を建設予定とのこと。拡大するダッカの勢いを改めて感じました。

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その後、景色はどんどん変わり、田園や白い花が美しいスイレン畑が広がる農村地帯をひたすら走ります。そして日も暮れかけたころ、バスはようやく目的地であるUBINIGの施設に到着。本日の宿泊先であるゲストハウスに案内されます。暗いので全貌は分かりませんが、敷地内は広大な森の中にあるようです。UBINIGは、農村地域の住民による主体的な開発を支援するために有志が立ち上げた研究機関です。ここでは、毎日朝と夜の2回、有機農法や種の保存、織布の研究をしているメンバーが集会所に集まり、歌や踊りを披露してコミュニケーションを図っているとのこと。私たちも夜の集会に参加させてもらうことができました。

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バングラデシュの国民的な哲学詩人ラロン・シャの歌や、メンバーによる自作の歌など、ガイドさんの説明を受けながら楽しい時間を共有しました。集会からの帰り道、真っ暗な道をそろそろと歩いていると、誰かが「あ、蛍」と声をあげます。慌てて懐中電灯を消すと、ほのかな光がゆっくりと明滅しています。日本では滅多に見ることができない蛍ですが、バングラデシュの農村で見ることができたことに感動です。その後、UBINIGで栽培した有機野菜を使った料理でもてなしていただきました。話し込んでいるとあっという間に夜は更け、それぞれの部屋に戻ります。就寝前に、スタッフが手際よく蚊帳を吊ってくれました。そのおかげで朝までぐっすりと眠ることができました。

 

 

第3日目 UBINIG、e-hutの視察


翌朝は8時に朝食を取り、UBINIGの敷地内での活動を視察します。昨日のダッカでの喧騒が嘘のような静かな森のなかを歩きます。まずはバングラデシュ料理には欠かせないというマスタードオイルの抽出工程を見るため、小さな建物に入ります。中では、村の女性が牛を引いて臼を回しています。

 

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5キロのマスタードの種から約1.5キロのオイルを抽出します。種を入れてから抽出まで1時間の休憩を挟んで3時間かかるとのこと。気が遠くなるような地道な作業ですが、機械で抽出するのとは風味がまったく違うのだそうです。次に訪れたのは米の種子を保存する貯蔵庫。ここでは1,700種類の種を保存しています。随分多いように思いますが、元々バングラデシュには15,000種類あったものが、輸入種に押されて今では3,000種類まで減少したとのこと。ハイブリッド米と呼ばれるこれらの輸入種は、生産性は高いものの収穫後に再生産ができず、またそれ専用の化学肥料を買わなければならないため、農家が農作物に関する知識を失い、次第に大手のバイオ化学メーカーに依存するようになってしまうという問題があるそうです。UBINIGではこのような現状を危惧し、在来種の保護と有機農法の普及を目的として活動しています。

 


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人口の増加により食糧需給がひっ迫している現状を考えると、時代に逆行した活動のようにも思われますが、食糧の生産性を追求した結果、本来の農民の生活など、本人たちも気付かないうちに失われてしまうものがあるということを学びました。その後、日本では昔懐かしいポン菓子の生産や、織布工場など伝統的な農村での活動を視察し、お世話になったスタッフに別れを告げて、私たちはUBINIGを後にしました。

 

午後は、タンガイル市街にあるインターネットカフェe-hutを訪れ、翌日訪問予定のbracNet社が運営するフランチャイズ事業の現状を視察します。

 

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店舗は専門店街にある建物の2階にあり、いくつかのインターネットカフェが並ぶ一角にありました。店舗内は20のブースに分かれており、いわゆる日本のインターネットカフェに似ています。e-hutのサービスは大きく分けて3つあり、通常の時間単位のインターネット利用と、コンピュータやインターネットの基本的な操作を教える基礎コース、そして今年から開始されたe-educationという遠隔予備校授業のコースです。ダッカでは大学に入るために日本で言うところの予備校に通うのが一般的で、授業料は平均して2~3万タカ(1タカはおよそ1円)だそうですが、e-educationの通信教育ではその10分の1の費用で同じ授業を受けることができるサービスを提供しています。地方の学生がダッカの大学に行くのは費用、移動時間の両面で負担が大きいようですが、このようなサービスを利用することにより、それほど裕福ではない学生でも高等教育へのアクセスが可能になるということを知り、インターネットが潜在的に果たす役割の大きさを実感しました。
夕方はダッカ市内に戻り、AarongというBRACが経営するデパートに寄って買い物を楽しみます。商品はすべて農村の人々が手作業で制作したものをBRACが買い取って販売しているそうです。参加者はそれぞれ家族や会社の同僚などへのお土産を選びながら、自由な時間を満喫していました。

 


第4日目 グラミン銀行の活動視察、bracNet本社訪問

 

 

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今日はツアーのハイライトとも言うべきグラミン銀行の活動の視察です。私たち一行はバスに乗り込んで、ガジプール県にあるトンギ地区というところに向かいます。初めに到着したのは同地区の支店です。グラミン銀行は本店を頂点として、ゾーナルオフィス、エリアオフィス、ブランチオフィス、センターと階層が分かれていますが、私たちが訪れたのはブランチオフィス(支店)で、実際に顧客への貸出業務を行っているのがこの支店です。説明をしてくれた同支店のシニアオフィサーによると、この支店では現在5,000人以上の貸付を管理しており、貸付総額は約5,800万タカとのこと。同支店の各フィールド・ワーカーは毎日午前中に担当のセンターを回り、グループリーダーを集めて会合を開きます。その際、返済金を回収するとともに返済状況のモニタリングを行い、新規貸付の要望があればその人の家を訪問し、詳細な聞き取り調査を行います。そして後日、支店長のもとを訪れてインタビューを行い、最終的な貸付の判断を行うのだそうです。

 

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支店で30分ほど支店業務の説明を受けた後、私たちは再びバスに乗り込んでセンターに向かいます。村に到着すると、そこには約40人のグループリーダーが集まっており、私たちを興味深げに迎えてくれました。グラミン銀行のスタッフが事情を説明し、私たちに質問する時間を与えてくれました。ツアー参加者からは次々と質問が飛び出しました。「毎週の返済は大変ではないですか?」「初めは少額から始めたけど、事業を始めたら上手くいくので面白いのよ。」とか、「どうしてグラミン銀行を選んだのですか?」「金利が安くて多額の借り入れができるので選んだのよ。」などなど。さらに、「グラミン銀行のことをどこで知ったのですか?」「初めはグラミン銀行のスタッフが説明会に来て、それで興味を持ったので、1日3タカを払って1週間のトレーニングを受けたのよ。」といった詳細な仕組みまで聞くことができました。その後、彼女たちはグラミン銀行からの借入で始めた自分たちの店舗を私たちに見せてくれました。店舗を紹介する彼女達の表情は一様に明るく、誇らしげであったことがとても印象的でした。

 

 

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その後、グループリーダーたちに別れを告げた私たちはダッカ市内に戻り、グラミン銀行本部を訪問しました。本部では国際プログラム課のラタン課長に面会し、グラミン銀行が提供するインターンシッププログラムなどの説明を受けました。参加者はスタッフの雇用形態やインターンシップの詳細、他のグラミングループ企業との関係性などについて質問していました。聞きたいことはまだたくさんありましたが、次の訪問先に移動しなければならず、急かされるようにグラミン銀行を後にしました。
午後はbracNet本社を訪問し、同社の事業内容について説明を受けました。インターネットサービスプロバイダー事業の他、企業や公的機関向けに社内イントラネットの構築、メンテナンス事業を行っています。そして、今回私たちが話を聞いたのは、同社が手掛けるe-hutというインターネットカフェのフランチャイズ事業についてです。現在およそ国内に90店舗を有するe-hutは、同社がインターネット接続のほか、トレーニングやコンサルティングなどの各種サービスを提供しています。職員の方によれば、国内ではインターネットカフェのフランチャイズ事業を行う唯一の企業だそうです。地方では他社の基幹回線を借りていることもあり、接続料金がどうしても割高になってしまうのが課題とのことですが、政府からの利用許可取得にかかる費用が低下するなどの追い風もあり、今後は収益を徐々に拡大していく見通しとのことでした。技術的な部分は十分に理解できないところもありましたが、バングラデシュ国内での同サービスのパイオニアとしての自負と、サービス拡大に向けて取り組む同社の勢いを感じました。

 

 

 

第5日目 Waste Concern本部訪問、現地大学生との昼食会


ツアーも最終日となりました。少し寂しい気持ちを抱えながら、最後の訪問先であるWaste Concern本部に向かいます。こちらでは、ダッカ市内のゴミを収集し、堆肥にして販売するという事業に取り組んでいます。現在では毎日700トンものゴミを収集し、自然発酵により堆肥を製造しています。

 

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 一部の工場では、温室効果ガスの発生を抑制する設備を備えており、国連機関のクリーン開発メカニズム(CDM)にも登録されているとのことです。同社の事業の特徴は、家庭で出る生ゴミをすべて自社のリソースを使用して回収していること。これにより、都市部の貧困層の雇用を生むとともに、各家庭ではゴミをわざわざ遠い収集所まで運ばなくてもよくなり、サービス向上にも役立っているとのことです。同事業のアイデアは、創業者の一人であり元建築設計士のシンハさんが建築設計のために各国を訪れるたびに、バングラデシュの街がとても汚れていることに気が付き、「これではいくら立派な建物を建てても台無しだ。何とかして街をきれいにできないか。」と考えたことがきっかけだったそう。社会課題を解決するだけでなく、ビジネスとして成功させるための様々な苦労があったことを学びました。

 

最後の訪問先であるWaste Concernを後にした私たちは、途中でダッカの大学生3人と合流し、昼食を食べながら意見交換をしました。参加者はこれまでのツアーでの経験や、バングラデシュに来て感じたことなどを伝え、学生は学校での活動内容や将来の夢について語ってくれました。2人の学生はすでにインターネットを利用した事業を始めており、卒業後はそれらの事業を拡大させていきたいということを生き生きと話していました。そんな学生たちの話を聞きながら、私はバングラデシュを訪れる前は、貧困に悩むどちらかと言えば暗い国というイメージを持っていたことを思い出しました。実際には、出会った人々は皆表情が生き生きとしていて、知識欲が旺盛で、逆に日本人には少し元気が足りないのかな?と思う程でした。バングラデシュのこれからの成長が楽しみになるとともに、またいつかこの国を再訪してみたいと思いました。

 

 

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さて、忙しかったツアーもようやくすべての行程を終了し、参加者はそれぞれの感想を胸に帰国の途につきました。翌朝から会議の方、地方の勤務先に戻る方など様々ですが、帰国してから少しずつ今回の経験を振り返っていくのではないかと思います。後日、再会したときにお互いの感想を共有できるのもまた楽しみの一つです。参加者の皆様、本当におつかれさまでした!