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2015年 第2回インクルーシブ・ファイナンス国内研修のご報告

2015年11月22日にインクルーシブ・ファイナンス国内研修コースの第2回を開催いたしました。

【「顔の見えない金融?」~モバイルマネーは金融アクセスを自由にする貧困層の味方か?】と題して行われた本研修には、埼玉大学教授の辻 一人先生をモデレーターとしてお迎えし、金融関係にお勤めの方や学生など、21名のご参加をいただきました。参加者の皆さまにはこの場をお借りし御礼申し上げます。

本研修では、インクルーシブ・ファイナンスを取り巻く現状として、バングラデシュやインド、インドネシアなどで発展したソーシャルバンキング型のマーケットと、サブサハラアフリカを中心に発展しているモバイルバンキング型のマーケットを比較した上で、急速に携帯電話の普及が進むアフリカにおける、デジタル・ファイナンスを活用した様々な金融の在り方について講義しました。

送金、貯蓄はもとより、BOPビジネスの発展にも大きく寄与しているデジタル・ファイナンスについて、水の供給やマイクロ保険など多くの事例を踏まえながら幅広く学んでいただきました。
また貧困層の多くが日常的に活用しているマイクロローンについても、モバイル(携帯電話)を介しての与信判断がいかに行われているのか、またその妥当性について議論していきました。
各講義の後には、これらが今後人々にどのような便益をもたらすのか、可能性と課題について多くの質問や意見が飛び交い、ご参加者の皆様のおかげで大変熱気に満ち溢れた研修となりました。

第2回インクルーシブファイナンス研修の様子

研修参加者からの感想(抜粋)

「非常に興味深く有意義な時間でした。」
「内容も充実しており、参加者の方のQ&Aも充実していたと思う。ありがとうございました。」
「Financeに詳しい方が参加者のメインでしたが、それ以外の人もセミナー内容が理解できる構成となっており多くのことを学ぶことができました。」
「他では得られない情報や切り口、現地実態を踏まえたコメント、参加してよかったというのが正直な感想です。」


第2回 研修内容

Module 1:「なぜ今、金融包摂が求められているのか」
Module 2:「デジタル・ファイナンス・プラスとは何か」
Module 3:「デジタルを通して、いかに顧客の債務能力を判断するのか」
Module 4: 「モバイルバンキングを活用し市場を開拓する新たなBOPビジネス」

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今回講義を行った、携帯電話を介した「顔の見えない金融」=モバイルバンキングの発達により、貧困層がアクセスできる金融サービスは飛躍的に拡大しており、特にモバイルバンキングは「低コストでサービスを提供できる」を強みに、人口密度が低いアフリカにおいてニーズと期待が非常に高くなっており、今後ますます注目されていくことでしょう。アライアンス・フォーラム財団では、2016年2月24日~3月1日までデジタル・ファイナンスの先進市場であるケニアにて、各種サービスを提供している企業を訪問する研修コースを計画しています。

なお、インクルーシブファイナンス国内研修は全3回を予定しており最終回となる第3回は2016年1月16日(土)に開催され、主に法規制や監督に焦点を当てた講義となります。ぜひご参加をご検討ください。
⇒ 第3回 「金融サービスをすべてに人に届けるために」 ~法規制・監督がもたらす安定と持続、その可能性

Microfinance Training Course for Policy and Development 実施報告 I

Microfinance Training Course for Policy and Development
本研修は2013年第5回アフリカ開発会議(TICAD V)の際に行われた「AFDPアフリカ首脳・経済人会議」の成果事業で、東南部アフリカ市場共同体(COMESA)とアライアンス・フォーラム財団間の推進事業のひとつである「マイクロファイナンスを通した貧困削減」を目指しています。COMESA各国の中央銀行及びマイクロファイナンス機関から参加した法規制監督分野における実務者28名が7日間を通してマイクロファイナンスの法規制と監督について最新の取り組みと課題の共有、グッドプラクティスを目指した協議を繰り広げました。

2014年12月2日~8日の一週間にわたり、ザンビアにて金融包摂促進のためのマイクロファイナンスの法規制監督能力強化研修『Microfinance Training Course for Policy and Development~Microfinance Regulations &Supervision towards Financial Inclusion~』をザンビアの首都ルサカで実施しました。研修のモットーは『Economic Opportunities for poor across COMESA』で法規制監督改善を中心としたマイクロファイナンス環境改善を通し、貧困層のファイナンシャルインクルージョン(金融包摂)を推し進めていく事を目指しています。この研修は、アフリカ開発銀行アフリカ民間セクター向け支援基金(FAPA)より資金が拠出され、アライアンス・フォーラム財団とCOMESAとアフリカ開発銀行が共催しました。

研修参加者の集合写真
本研修にはCOMESAメンバー国のうち15ヶ国から28名、及び日本からの8名が参加しました。COMESAはアフリカの経済共同体としては非常に多様性に富んでおり北はエジプト、南はスワジランド、東はコモロ諸島、西はコンゴ民主共和国と様々な参加者が集まり知識を共有しあいました。

※COMESA各国の地図
COMESA各国の地図

※研修参加者の特色 
研修参加者の特色を表した図

[研修プログラム、講義]
プログラムは、辻一人氏(埼玉大学教授)、菅正広氏(世界銀行理事)監修のもと、講義、各国の現状共有、アクションプラン策定の為の協議を実施しました。講師には、ケニアのマイクロファイナンス機関K-Rep銀行を擁するK-REPグループの共同創設者、Kimanthi Mutua氏とマイクロファイナンス商品開発やアウトリーチの専門家であるCheryl Frankiewicz氏やモバイルマネーに特化した急成長中のケニア民間銀行のマネージャーを迎えました。K-Rep銀行はアフリカで初めて融資を扱えるマイクロファイナンス機関と認定された機関で、その仕組みを政府担当者と一緒になって作り上げた実績があります。そのMutua氏のファシリテーションのもとで参加者は自国の現状や課題を共有し、議論や演習を通してより良い法規制監督制度の構築に役立つ対策を考察しました。

※参加者の構成図
業界・性別・資料言語を表す円グラフ


[フィールドトリップ]

マイクロファイナンス機関の様々な商品、そしてそのオペレーションを視察するために現地マイクロファイナンス機関Micro Bankers Trustを訪問しました。農家、レストラン経営者、食糧品店主など零細企業を営む顧客を訪問し、融資の活用方法や生活改善における効果、事業拡大における課題について話を聞きました。マイクロファイナンス機関側からは機関代表やローンオフィサーなど異なる立場の職員から機関運営における課題、ザンビアのマイクロファイナンス法規制監督への提言を聞きました。

※農業に従事するMF顧客のビジネスを視察
農業に従事するMF顧客のビジネスを視察

※野菜売りの零細企業にインタビューする研修参加者
野菜売りの零細企業にインタビューする研修参加者の様子

※左:下町の市場を視察する日本人参加者、右:乾燥小魚を売る市場の零細企業家。
本研修の最終目的はこのような人達がより豊かになれる環境を作る事です。
左:下町の市場を視察する日本人参加者、右:乾燥小魚を売る市場の零細企業家。
さらに、日本人参加者は、ザンビア理解のため、小学校やコンパウンドと呼ばれる未計画居住地域、水道局、そしてマイクロファイナンス機関のCETZAMを訪問しました。ザンビアは2014年のGDP成長率は7%を記録し、特に首都のルサカ市ではショッピングセンターが次々に建設されるなど目まぐるしい経済発展を肌で感じる事が出来ます。一方で、コンパウンドや郊外に住む低所得層は貧困、未整備なインフラ、雇用不足などの問題に直面しており生活水準向上が進まない現状があります。参加者は、アフリカ経済成長の両方の側面を視察し、そこに存在するニーズについて考察しました。

[アクションプラン策定]
研修の集大成として、参加者は世界でのマイクロファイナンス法規制監督の現状とCOMESA各国の取り組みを比較分析し、自国でより良いマイクロファイナンス法規制監督をする為の提言をまとめました。本提言は今後COMESAの金融包摂政策に反映されると同時に、今後の、研修成果物として出版され、COMESA各国のマイクロファイナンス法規制監督における知識蓄積に一層貢献する事が期待されています。

~参加者の声~
“規制監督者と実務者が一緒に学べるとても良い機会でした。さらに、いろいろな国からの参加者が混ざって経験を共有できたのは素晴らしく、
このような研修は続けられるべきです。” Uganda, Microfinance機関連合
“私の国でマイクロファイナンスを規制監督する際、この研修を通して得たこと、例えば、信用登録や監督におけるリスクベース・アプローチといった事などを
応用させたいと思っています。” Zimbabwe, 中央銀行

※研修の修了証書を受領したコンゴ民の参加者
原代表理事と修了証を受け取ったコンゴからの参加者

※左:グループディスカッションの様子 右:ディスカッションで発言するエチオピアの参加者
左:グループディスカッションの様子、右:ディスカッションで発言するエチオピアの参加者

[今後の計画]
COMESA各国のマイクロファイナンス法規制監督の現状や課題分析の詳細は研修レポートとして近日中に公開予定です。また、本研修で議論された課題に対する対策・改善方法を具体的かつ実行可能なレベルに落とし込むための第2フェーズの研修実施に向けて準備を進めています。第2フェーズの成果物である各国のマイクロファイナンス法規制監督改善アクションプランはTICAD VIの際に他アフリカに向けたモデルとして発表される予定です。実施報告IIでは各国が提示した優先課題についてご紹介いたします。

※研修2日目、金融包摂法規制監督についての講義の様子
研修2日の講義の様子

2015年 第1回インクルーシブ・ファイナンス国内研修のご報告

2015年9月5日に、本年第1回目となるインクルーシブ・ファイナンス国内研修を横浜グローバルステーションにて行いました。
今回は社会人12名、学生2名のご参加がありました。社会人の方々は、金融、メーカー、海外コンサルティング企業など様々なバックグラウンドをお持ちで、それぞれ非常に有益なご意見やご質問が出され、講義をさらに豊かなものにしてくださいました。
この場をお借りして、御礼申し上げます。

今回の研修では、例年大好評をいただいている「最底辺のポートフォリオ」の著者であるラザフォード教授の講義で、マイクロファイナンスの変遷と貧困層がどのように毎日のお金をマネジメントしているのか、その仕組みを学びました。加えて、本年からの新しい視点として貧困層を対象とした金融サービスを拡大していくことを指すより広義の意味である「インクルーシブ・ファイナンス(金融包摂)」を取り入れ、「貧困層へ責任を持って金融サービスを提供する」とはどんなことを指すのか、インドとバングラデシュの事例を比較して、検証しました。

研修ではラザフォード先生のわかりやすく、具体例が満載の講義に私自身も多くの学びがありました。また今回からの取り組みとして、インクルーシブ・ファイナンスサービスに係る財団自らの検証結果を披露しましたが、ご参加者からもロジカルな講義が好評で、大きな励みとなりました。
さらに研修ではご参加者のみなさんが積極的に質問や意見を出したり、今回はマイクロファイナンスを長年実施してきたご経験者もいらっしゃったことから、参加者同士で質問し合う様子もありました。また、マイクロファイナンスを活用した事業を展開しているご参加者からは、実際に直面している悩みなどが出され、みんなでどうしていくか考える場面もあり、ご参加者がさらに学びの範囲を広げてくださいました。

ラザフォード教授の講義の様子
質疑応答の様子
財団スタッフによる講義の様子

次回の研修は2015年11月22日(日)に、JICA市ヶ谷にて行います。テーマはデジタル・ファイナンスプラスとなっています。人口密度が低いアフリカではアジアとは異なるファイナンスのテクノロジーが発達しており、大手企業、ベンチャー企業等、NPOなどが多彩なサービスを提供しています。最新のインクルーシブ・ファイナンス事情に精通するCGAP日本代表の辻一人教授をモデレーターに迎え、次回も白熱した研修にして参ります。詳細はこちらに記載しておりますので、ぜひご参加をご検討ください。

マイクロファイナンス・【顔の見える金融】コース(バングラデシュ・11月)のご報告

2014年11月1日(土)~7日(金)の7日間にわたり、10回目となるマイクロファイナンスコースをバングラデシュにて開催いたしました。
タンザニアやエジプトを含めて世界各国から集まった16名の参加者はNGOや民間企業、外資系企業など様々なバックグラウンドを持っており、本コースを通してお互いに良い刺激を与えあい、参加者同士のつながりを構築しました。

今回のコースは、BRAC大学によるマイクロファイナンスに特化した内容に加え、バングラデシュで急成長するソーシャルエンタープライズの創始者に話を聞いたり、現地で事業展開を進める日本企業の現地事務所を訪問させてもらったりと、より多様なディスカッションを行うことができました。

バングラデシュ マイクロファイナンスコース 講義中の様子

[現地研修の様子は、バングラ日記も併せてご覧ください。]


[国内事前研修]

現地研修の1週間前に、国内で事前研修を開催しました。長年、貧困層の家計について研究をされてきて、さらにバングラデシュにてマイクロファイナンス機関を立ち上げた、Rutherford教授よりマイクロファイナンスについての基礎を学びました。さらにバングラデシュ出身の研究者、Shonchoy博士より、バングラデシュの文化的背景を交えて特に自然災害が多い環境におけるマイクロファイナンスのもつ可能性についてご講義頂きました。初顔合わせとなる参加者は、それぞれこの研修に対する意気込みを共有しました。

[マイクロファイナンス基礎講義]
現地研修は2014年11月1日~7日に行われました。BRAC大学の教授でマイクロファイナンスの権威者であるSyed Hashemi教授から、マイクロファイナンスの基礎から応用までを包括的に学びました。また、Hashemi教授だけではなく、Bangladesh Rural Advancement Committee (BRAC)のマイクロファイナンス担当者や外部研究者・実務家といったそれぞれの分野において第一線で活躍する専門家から、それぞれ講義をして頂きました。ワークショップやディスカッションも取り入れた魅力的な講義に、参加者は活発な議論を行いながら最新の知識を得ることができました。
バングラデシュ マイクロファイナンスコース 講義の様子

[特別セッション]
BRAC大学のマイクロファイナンスの専門的な授業だけでなく、ゲストスピーカーとして、ソーシャルビジネスをリードするYunus Centreの担当者や社会起業家のSolaric(太陽光パネルによるオフグリッドシステムの提供)のBangladesh Petrochemical Company Limited (ペットボトルリサイクル事業)の創設者にもお越し頂き、ソーシャルビジネスについても学びました。さらには、現地NGOのTMSSのマイクロファイナンス担当者とのディスカッションも行い、多種多様な実務者より、実践の場で求められるスキルや知識、経験など聞くことができ、現場レベルでのソーシャルビジネスとマイクロファイナンスへの理解を深めました。


[フィールドトリップ]

参加者は、ダッカ市のスラムを中心にマイクロファイナンスを展開するSafeSaveと、マイクロファイナンス市場が成熟した現在でも成長を続けるBuro Bangladeshという2つの全くシステムが異なったマイクロファイナンス機関を訪問しました。運営者、スタッフそして顧客とその家族から直接話を聞き、マイクロファイナンスがどのように運営されており、またどのような影響、課題があるのかを調査しました。フィールド訪問により、人々と交流し、生の声を聞くことは、マイクロファイナンスやバングラデシュを理解する上で欠かせません。また実際に彼らと交流することで、そこに暮らす人々の生活を垣間見ることができました。
バングラデシュ マイクロファイナンスコース フィールドトリップの様子
バングラデシュ マイクロファイナンスコース フィールドトリップの様子2


[国内事後研修]

2015年1月31日に横浜で事後研修を行いました。今回の研修では、MF機関への投資を行うオイコクレジットジャパンの粟野様より具体的なマイクロファイナンス機関の評価方についてご講義頂きました。世界各国での事例を例に、実践面での応用について学びました。また、研修のあとは、現地で学んだことや感じたこと等、写真を使って現地研修参加者より報告いたしました。久しぶりに再会した参加者同士、近況を報告しあったり、マイクロファイナンスの専門家と交流を深めました。

修了生を集めた懇親会を何度か実施していますが、これからもマイクロファイナンスコースOBの交流の場を提供していき、みなさまが世界で活躍される事をスタッフ一同で応援します。

バングラデシュ_マイクロファイナンスコーススケジュール

第2回 マイクロファイナンス入門コース のご報告

アライアンス・フォーラム財団では、2014年4月26日(土)~27日(日)の二日間、財団の横浜オフィスにて第2回目となる国内マイクロファイナンス入門コースを実施いたしました。ご参加くださいました皆様、ありがとうございました。

Stuart Rutherford 教授によるマイクロファイナンス講義
本コースは、最先端の講義を通してマイクロファイナンスを学び、またフィールド訪問も行うことで包括的な理解を促すことを目的としており、理論と現場の両方を知ることができる入門プログラムになっています。
(アライアンス・フォーラム財団では、過去に8回バングラデシュにて1~2週間に渡るコースを実施してきており、今後も実施予定です。過去のコースの様子はこちらからご覧いただけます。)
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スピルリナ・プロジェクトとは、たんぱく質含有量の高い、食用藻スピルリナを使って、途上国の栄養不良、飢餓、それらが原因で引き起こす様々な病気を撲滅するという目的を持った飢餓・栄養不良改善のプロジェクトです。
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