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スピルリナ効果測定:母親が実感できる効果を

スピルリナの普及拡大にあたって非常に重要となるのが保健省が策定する栄養政策です。栄養政策では重点分野などの指針の他、栄養改善のため住民に摂取を普及していく食品なども紹介されます。たとえば、現地で生産されている落花生や大豆を粉末状にしたものを離乳食に加えることなどが推奨されています。推奨は母親が産前産後健診で通うクリニックにて行われます。こういった形でスピルリナが推奨されていくことが、スピルリナを広い地域で普及することに不可欠であり、ひいてはザンビアに蔓延する慢性栄養不良改善に不可欠であると言えます。

政策としてスピルリナが普及されるためには、スピルリナの栄養不良改善への効果の裏付けが欠かせません。そこで課題となったのが、スピルリナの栄養改善効果検証はブルキナファソなどでの事例を基にした論文などが発表されているものの、ザンビアでは事例がないということでした。これを受けアライアンス・フォーラム財団では、自らザンビアでの効果測定事例を作るべく、と効果測定事業を2012年より開始しました。

効果測定では12-48ヶ月の乳幼児計60名を選定し、①スピルリナ入りお粥を食べる介入群(30名)と、②プレーンなお粥を食べる比較群(30名)に分けて、毎月、身長・体重・上腕周囲を計測すると共に、風邪や下痢等の罹患率の推移を確認しました。その結果、身長・体重・上腕周囲のすべてで介入群がより顕著な伸びを見せました。特に、身長においてはその差は統計学的にも優位であると認められ、スピルリナの低身長改善効果、つまり慢性栄養不良改善効果があることを証明することができました 。さらにマラリアの罹患率は比較群において介入群の3倍の人数が確認され、免疫力向上への効果がある可能性も高まりました。

調査の概要

子どもの体重測定の様子

体重測定

子どもの身長測定の様子

身長測定

子どもの上腕周囲測定の様子

上腕周囲測定

調査結果のグラフ

そして何よりも印象深かったことは、効果測定に参加した子供の母親がスピルリナの効果を実感したことでした。「目に見えない飢餓」として顕著な身体的特徴がない慢性栄養不良ですが、スピルリナを食べた介入群の母親たちは「子供が活動的になった」「茶色だった髪の色が黒々してきた」「肌の炎症が治った」等の変化を日々報告してくれました。その結果、効果測定終了後も自発的にスピルリナを子供に与えたいという母親が介入群だけでなく、スピルリナを摂取しなかった比較群からも出たことは大きな励みとなりました。数値としての裏付けだけでなく、子供の食事に大きな影響を与える母親自身に実感してもらえるインパクトを出していくことも私たちが大切にしていきたいことのひとつです。

この効果測定の結果をまとめた論文は英国サセックス大学研究機関であるInstitute of Development Studies (IDS)が2014年9月に発行したIDS Bulletinにて発表され、ザンビア内外にてスピルリナの栄養改善効果の認知が広まっています。

上記の結果を受け、ザンビア保健省からはさらに人数を拡大した第2回効果測定の実施が後押しされました。人数が拡大し、より精度の高い検証によって同様の結果が得られれば、政策としてスピルリナが広まることがさらに現実的になってきます。第2回効果測定は2015年5月よりSUN Fundにご支援をいただきながら、介入が開始される予定です。

第2回調査の概要