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スピルリナ生産事業:現地の人々による生産を目指して

配給モデルの確立、効果の裏付けを経て、地産地消に向けて大事なステップとなるスピルリナの現地生産のため、生産性とコストを確認するパイロット生産が2014年より開始されました。現地生産において重要となるのは、①低コスト生産の達成と、②現地人材への技術移転です。慢性栄養不良は特に低所得者層の間で蔓延していることから彼らが購入できる金額でスピルリナを提供することが普及の要になります。また継続的な生産のためには現地人材を育てることが欠かせません。そこでザンビア大学農学部と協力して2014年8月~12月にパイロット生産を実施し、研究やノウハウの拠点をザンビアで作ることを目指しています。

パイロット生産に活用されたスピルリナの株はマダガスカルの研究施設より輸入され、まずはザンビア大学のラボにて培養が開始されました。ラボにおいてはスピルリナの管理方法、各値の測定方法などがDICライフテック株式会社スタッフやアライアンス・フォーラム財団駐在員からザンビア大学研究員に対して行われました。研究員は、培養開始当初、初めて見るスピルリナに戸惑いその培養管理方法の習得に時間がかかりましたが、パイロット生産時期の後半では徐々に一人で仕事を任せられるようになりました。

一定程度の濃度が確認された後、スピルリナは屋外に移されさらに培養が続けられました。特にラボのような管理された環境ではなく、ザンビアの自然の環境下でスピルリナの成長速度がどの程度変化するかに注視して観察が行われました。また収穫されたスピルリナの乾燥時には機械を使用しない天日干しにも挑戦し、生産コストの低下が図られました。

今回のパイロット生産により、ザンビアにおいてもスピルリナが生産可能であることが実証されたことは、目で見て確認することが大きなインセンティブになるアフリカに於いて、大変重要な壁をひとまず超えられたと言える成果です。今後は本格的な事業としての生産を目標に現地のパートナー候補などと交渉を続けています。

ビーカーに入ったスピルリナ株

スピルリナ株。株の培養はUNZA
農学部と共同で取り組みました。

屋外培養開始の様子

屋外培養開始の様子

スピルリナ収穫の様子

スピルリナ収穫の様子

収穫したスピルリナを自然乾燥させているところ

収穫したスピルリナは自然乾燥させます

アフリカに生息するスピルリナと、日本発のスピルリナ培養技術と、現地の人々の力を結集し、アフリカでスピルリナの地産地消による栄養改善を実現することがアライアンス・フォーラム財団の活動目的です。本事業では 、2020年を達成目標とし①プロジェクトインパクトの明確化、②現地主体、③自立的に継続可能な事業の仕組み作り、④日本の技術、経験の活用、そして⑤成果の社会への発信を重要な軸として事業を進めて参ります。

そして、ザンビアでの事業モデルの確立を経て、同じく慢性栄養不良に苦しむ近隣アフリカ諸国にプロジェクトを拡大する計画です。

スピルリナとは
スピルリナは高い栄養価を含むだけでなく、細胞膜が薄いためその消化吸収率が95%以上と非常に高く、内容成分が利用されやすいことから「スーパーフード」とも呼ばれています。日本や欧米諸国では美容・健康のサプリメントとしての人気が高い一方で、途上国においては栄養不良改善に有効な食材として注目されています。UNIDO(国連工業開発機関)は1980年に報告という形で「未来の重要な食糧」としてスピルリナが注目すべき食品であると発表し、WHO(世界保健機構)は1993年のレポートにおいて、栄養不良の患者にスピルリナを1日数グラム90日間与えると回復すると報告しています。さらに、スピルリナの普及を進めるため、1996年に国連下部組織にIIMSAM (Intergovernmental Institution for the Use of Micro-Algae Spirulina Against Malnutrition)という特別組織が誕生しました。

スピルリナについての詳細はこちらからもご覧いただけます。

▶ ザンビア日記
▶ 栄養改善プロジェクト 活動レポート